ホテルを出て、空港へと向かう。
明日からはもう現実世界へと戻らなければならない。明日の昼からもう私は仕事があるのだ。
駅から空港へ向かうバスの中で流れていく風景を、二人何も言わずにただ眺めていた。高速道路から見えるものは、大きなタイ語の看板がほとんどだったけれど、空港が近くなるにつれて看板の間隔が狭くなり、私達に別れを告げているように見えた。
空港でチェックインを済ませ、飛行機が出るのを待つ、そのぽっかり空いた時間が旅から現実へと戻るためのリハビリ期間となる。この1週間に体験したこと、感じたこと。
象には乗れなかったけど、その代わりに得た大きな贈り物。
タイはおもしろい。タイは楽しい。暑くて暑くて、蒸し蒸ししていて、バンコクは排気ガスで空気が汚れていて、渋滞がひどくて、だけど魅力的な街であった。
離陸を告げるアナウンスと共に、飛行機はゆっくりと動き始めた。ばいばい、またね、バンコク、そしてタイランド。
私達は黙ったまま窓の外を見、そしてすぐに明日のためにぐっすりと睡眠を取る準備に入ったのであった。
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