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暑さと不安で、二人のイライラは頂点に達していた。
もしかして、やっぱり、無謀すぎたのだろうか。あの人を信じてここまで来たのは浅はかだったのか…

ランパーンの町外れにある、バスターミナルには、これといった見所もないし、動き出す元気もなかった。ただひたすらタムさんの仕事が終わる5時過ぎを待つだけである。
これでもし、彼女に会えなければ、チェンマイに戻るか、それともそのままどこか違う街へバスで移動するか、なんとかしなければいけないなと、最悪の結果も考え始めていた。

とにかく、もう一度電話をしよう。
気をとりなおして、再度公衆電話に手をかける。
緊張してきた。これであかんかったら、どないしよ…
運命を分ける一瞬である。
 

暑すぎて口をきく気力もない
暑すぎて口をきく気力もない

「トゥルルルー、ガチャ」
つながった。そして「ハロー?」と聞こえてきた。
やった!つながった!英語を話せる人だ、間違い電話じゃないぞ。
「タムさんのおたくですか?私たちは今日貴方の家に行く約束をしていた者ですが」
???

遠くで笑い声が聞こえる。電話を持っている人も笑っている。なんだか様子がおかしい。ハローっていうたやん。どないなっとんねん。英語も通じているとは思えない。
電話がたらいまわしされる。その度に「タムさんですか?」と言い続けた。「イエス」と答える人がいた。やった!通じた!

私たちは今いる状況を説明した。ランパーンのバスステーションにいること。鉄道の駅ではなくてバスで来たことなど。
彼女は、やや愛想なく、今から車で迎えに行くと言ったのであった。

とりあえず、よかった。
このまま路頭に迷うことはない。ホッと胸をなでおろした二人であった。ようやく、あの狂い死にしそうな暑さも、夕暮れとともにマシになってきて、状況は少しずつ改善しつつあるように思えてきた。

それにしても、あまり愛想なかったよなぁ、彼女。
もしかして迷惑だったのかなぁ?
2人で少し相談する。でも迎えに来てくれるって言ってるんだから、きっと歓迎してくれてるんだろうと勝手に解釈することにした。

どのくらい金持ちなんだろうか?会社は自分が経営してるって言ってたよなぁーやっぱりベンツとか乗ってるんかなぁ?
などとつまらない想像をしながら待つ。そしてそれらしき車が来る度に、色めき立つ2人であった。

20分ほどたった頃、一台のトヨタ車がこちらにやってきた。
タムさんとその息子が乗っていた。
「わータムーー!やぁやぁ元気ぃ?」
彼女は笑っていた。息子は興味深そうに私たちを見ている。
よかった。イヤイヤ来たんじゃなかったんだ!さっきの不安は杞憂であった。

なんでも、電話が通じなかったのは、英語がしゃべれないおばあちゃんや、親戚の人が出て、おろおろしたり、本当に電話がかかってきたからすごーいと笑っていたりしていただけのようであった。車の中で、今日初めての安堵の表情が出たばななん御一行様であった。

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