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くぐり杉?
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1時間程歩いた頃、ふいに思い出した。もしかして昼御飯を食べてないんちゃうん?!
何故今まで気づかなかったのであろうか。あの蝶マニアのなんともいえない毒気にやられていたのか?しかし気づいてしまったからには、食欲と睡眠欲はとりあえず旺盛なばななんだからして、なんとかせねばならぬ。
ここにあるのは、とりあえずの非常食として宿でもらったチョコレートとカロリーメイトのみ。特にカロリーメートは私があまり好んで食べない(というよりほとんど嫌いな)食べ物なのだ。しかしここはとりあえず、何か食べなければ、そのうち壁土でも食べてしまいそうな空腹感であった。そういうときのチョコレートは本当にうまい。カロリーメイトもそれなりに満腹感を味わえ、やや満足、満足度7といったところまでこぎつけたのであった。
と話がそれてしまった。
そう、ここは幻想的な屋久島の森の話をするところなのだった。食欲をとりあえず満たし、地図を見る。どうやらここから 白谷小屋という山小屋が近いらしい。
私はいわゆる本格的な登山はしたことがないので、山小屋というものがいったいどんなものなのかよくわからなかったので、とりあえず見に行ってみることにする。
屋久島の山小屋は、一般的な山小屋と違い、本当に小屋だけというのが多いようだ。通常の本土の山小屋では一応食事ができたり、布団があったりするらしいのだが、屋久島の場合、それらはすべて自前である。自分で寝袋を用意し、食料および燃料を用意して、ただ寝るところは小屋の中というだけの至極シンプルなまさに 小屋 である。そのために九州最高峰宮之浦岳に登頂するには、かなりの装備が必要ということになり、一般ピープルを寄せ付けない要因にもなっているのであった。
白谷小屋は、雲水峡のモデルコースからはずれているのだが、その後の本格的登山のコースとしては、結構メジャーな口ではないかと思われる。
少し歩くと看板があった。「ここから国立公園です」とうたった看板である。国立公園だからどうなるというわけではないのだが、なんとなく、そう威張って言われると「あ、すんません」と何故か言ってしまいそうであった。
20分ばかり歩いて白谷山荘到着。古く伝統を感じさせる建物である。かなりオープンな作りで、外から中の様子がよく見える。そして離れにあるはずのトイレが更に日本の伝統的な香りを漂わせていた。ふーむなるほどこれが山小屋かぁ…。おそらくこういう第一印象だと、他のどんな山小屋に行っても大丈夫なような気がしてきた。
小屋には関東のどこかの大学の山岳部の方々がいた。
10人近くいただろうか。案外のんびりしているんだなぁという感じで、紅茶なんかを入れてもらったりした。
時間は午後3時。まだ2時間半ほどしかたっていないのだ。もう少しここにいたい。ここはひとつもう少し先まで歩いてみるかなどとちらりと考える。なんてったって国定公園だしなぁ…。4時まで歩いて上ってみてそこから引き返そうか…と思いつつ、足を少し進め始めた。
ガサガサガサッ。
峠のベンチで休憩していると、なにやら後ろのほうで物音がする。もしやヤクシカがあらわれたか?鼓動が高鳴る。物音がだんだん近づいてくる。カメラ、どうしよう…
しかしそこにいたのは、なんと行きのタクシーで一緒だった蝶取りおぢさんなのであった。
「どうも」
軽く挨拶を交わして彼はまた草むらへと消えていった。
なんだったんだ?あれは。
なんだか疲れがどっと出てきたばななんはやはり帰路につこうと思ったのであった。 |