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白谷雲水峡
白谷雲水峡は、宮之浦から車で40分くらい山に登ったところにある自然休養林である。1995年までは無料だったが、96年から300円の入山料?を取ることになったようだ。
ここもヤクスギランドと同じように、いくつかの山歩きコースがある。

さて、同乗した人は少々面白い人であった。
蝶の収集が趣味らしく、屋久島にいる貴重な蝶を採集しに雲水峡から、さらに奥の山に入って活動するらしい。

が、この人、屋久島に対する理解が少々偏っているようで、傘はあってもレインコートはもっていない。懐中電灯はばかでかいが、ランタンはなし。テント持参なのだが、あとの持ち物はボストンバックと紙袋。というような、一歩間違えれば、山をなめてるとしかいえないような荷物なのであった。
うーーーん世の中いろんな人がいるんだなぁと思った次第である。

むむっこの人を理解するのは結構しんどいかもしれない…と思い、窓の外を見る。なんだかこの道はすごいなと気づいたのは、走り出して10分も経たないころであった。

ヤクスギランドに行く道もすごかったが、更にここは道幅が狭く、ガードレールとカーブミラーがないという状況であった。カーブミラーがないと前からどんな車がつっこんでくるのかわからない。とタクシーの運ちゃんはそんな私のどきどきもよそに車を走らせ、前から車が来たらバックして譲り合い、といった山道の鉄則を忠実に守り、我々は無事白谷雲水峡にたどりついた。

蝶の人に折半したタクシー運賃を支払い、別れる。2、3日小屋じゃないところにテントを張ってキャンプすると言っていたが大丈夫なんだろうか。世の中いろいろな人がいるのだと妙に感心しつつ、歩き出すばななんなのであった。

雲水峡の中の2時間くらいでまわれるコースを行くことにする。入口付近にはちらほら人影も見えたものの、10分もふらふらと歩いていると、全く別の世界に来てしまったかのような深い森の中に入ってしまっていた。

霧が出て、前方視界2mもない状態になっている。ただひたすら、気にくくりつけてあるリボンを頼りに歩く。山を歩いていると、時折気にリボンがついていたり、紐がくくりつけてあったりするが、その存在の意味をこのときほど正確に理解したことはなかったような気がする。

ただ、ゆっくりと、森を感じる。
ゆっくり歩いているからなのか、1時間程歩いても全く疲れない。それとも森のせいなのだろうか。

くぐり杉
くぐり杉?

1時間程歩いた頃、ふいに思い出した。もしかして昼御飯を食べてないんちゃうん?!
何故今まで気づかなかったのであろうか。あの蝶マニアのなんともいえない毒気にやられていたのか?しかし気づいてしまったからには、食欲と睡眠欲はとりあえず旺盛なばななんだからして、なんとかせねばならぬ。

ここにあるのは、とりあえずの非常食として宿でもらったチョコレートとカロリーメイトのみ。特にカロリーメートは私があまり好んで食べない(というよりほとんど嫌いな)食べ物なのだ。しかしここはとりあえず、何か食べなければ、そのうち壁土でも食べてしまいそうな空腹感であった。そういうときのチョコレートは本当にうまい。カロリーメイトもそれなりに満腹感を味わえ、やや満足、満足度7といったところまでこぎつけたのであった。

と話がそれてしまった。
そう、ここは幻想的な屋久島の森の話をするところなのだった。食欲をとりあえず満たし、地図を見る。どうやらここから 白谷小屋という山小屋が近いらしい。
私はいわゆる本格的な登山はしたことがないので、山小屋というものがいったいどんなものなのかよくわからなかったので、とりあえず見に行ってみることにする。

屋久島の山小屋は、一般的な山小屋と違い、本当に小屋だけというのが多いようだ。通常の本土の山小屋では一応食事ができたり、布団があったりするらしいのだが、屋久島の場合、それらはすべて自前である。自分で寝袋を用意し、食料および燃料を用意して、ただ寝るところは小屋の中というだけの至極シンプルなまさに 小屋 である。そのために九州最高峰宮之浦岳に登頂するには、かなりの装備が必要ということになり、一般ピープルを寄せ付けない要因にもなっているのであった。

白谷小屋は、雲水峡のモデルコースからはずれているのだが、その後の本格的登山のコースとしては、結構メジャーな口ではないかと思われる。
少し歩くと看板があった。「ここから国立公園です」とうたった看板である。国立公園だからどうなるというわけではないのだが、なんとなく、そう威張って言われると「あ、すんません」と何故か言ってしまいそうであった。

20分ばかり歩いて白谷山荘到着。古く伝統を感じさせる建物である。かなりオープンな作りで、外から中の様子がよく見える。そして離れにあるはずのトイレが更に日本の伝統的な香りを漂わせていた。ふーむなるほどこれが山小屋かぁ…。おそらくこういう第一印象だと、他のどんな山小屋に行っても大丈夫なような気がしてきた。

小屋には関東のどこかの大学の山岳部の方々がいた。
10人近くいただろうか。案外のんびりしているんだなぁという感じで、紅茶なんかを入れてもらったりした。
時間は午後3時。まだ2時間半ほどしかたっていないのだ。もう少しここにいたい。ここはひとつもう少し先まで歩いてみるかなどとちらりと考える。なんてったって国定公園だしなぁ…。4時まで歩いて上ってみてそこから引き返そうか…と思いつつ、足を少し進め始めた。

ガサガサガサッ。
峠のベンチで休憩していると、なにやら後ろのほうで物音がする。もしやヤクシカがあらわれたか?鼓動が高鳴る。物音がだんだん近づいてくる。カメラ、どうしよう…

しかしそこにいたのは、なんと行きのタクシーで一緒だった蝶取りおぢさんなのであった。
「どうも」
軽く挨拶を交わして彼はまた草むらへと消えていった。
なんだったんだ?あれは。

なんだか疲れがどっと出てきたばななんはやはり帰路につこうと思ったのであった。

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