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栗生浜の夕日
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意気込んだばかりにお腹が空いてきた私は夕食をとることにした。いつも同じ様なひとり旅の面々が集まってご飯を勝手に作って食べているというところで一緒につくることにする。
つくるといっても、簡単なコンロと小さい鍋しかないのでそう凝ったものはできないが、ヤクスギランドから戻ってくる途中で寄ったスーパーでうどんと豆腐とマーボードーフの素を購入していた私は、新メニューマーボードーフうどんを考案し、それを食することにした。ただ一つの鍋に全てをぶっこんで煮るだけだから簡単なものである。味は、新メニュー故にまだ改良の余地がありそうであった。そして食後には紅茶を飲んで優雅なひとときを過ごすのであった。
キャンプ場にはいろいろな人がいる。なんでも夜宴会ばかりして昼間ずーっとうだうだ寝ているらしい集団とか炊事場で毎日夜になると尾崎豊を熱唱する集団とかワケのわからないのもいるし、ヤクザル研究隊とかいう某K大の公募グループも50人くらいいたし、普通の家族連れもいる。結構にぎやかな夏の青少年旅行村であった。
私がいつもキャンプ場で一緒にいることになったのは、ひとり旅をしている奴らばかりであった。バイクで日本縦断を試みていて、冬の北海道宗谷岬にはじまり、今屋久島にたどりついたという静岡出身の無職のにーちゃんであるとか、広島は尾道で調理師をめざしているおにーちゃんとか、屋久島がこれで4回目だという屋久島博士みたいな人とか、チャリダーとか元登山部とかいう山大好きにーちゃんだとか、それぞれ個性いろいろで、そしてココ以外では出会いそうにもない人たちであった。
これだけ書いて女が私だけという状態がまったく気にならなかったのはそういやなんでなんだろーなぁと思うが、気にならないのが私というやつなのだ。しかもあまり向こうの方々も気にしていない様子だったので良かった。まぁチャリもってこんな僻地をめざすというワケのわからんやつは男女なんて関係なく変なヤツだということであろう。
夕食後もそのメンツで語り合ってしまった。それから3日間少しずつ来た人がいたり屋久島を離れる人がいたりしたけれど毎日ずっと夕食後はとりとめもない話をしていたのだった。そしてその時間が、今の自分にとってものすごく貴重な時間なんだということもわかっていたのだった。
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