|
西部林道を走る
|
海沿いの幹線道路であるが、あまり海が見えることはなかった。適度なアップダウンを繰り返しながら、普通のチャリダーなら難なくこなせるであろうその道を、坂が来る度に、地獄だぁ〜天国のようだぁ〜と、声には出さないものの、いちいち反応しつつ、えっちらおっちら走るばななんであった。
民家の陰で休憩する。
すでにかなり照りつけている朝の太陽。
汗を拭いて、水を飲みながら車が時折過ぎていくのをただぼーっと見ていると、一瞬いったいここはどこなのかわからなくなってしまう。うーんこのトリップ感、これが旅だなぁーとふと思ったりする瞬間であった。
またペダルをこぎはじめる。屋久島空港が見えてきた。
空港の建物と、滑走路が1本だけのシンプルな空港である。滑走路の向こうに海を見ることができた。
ここまできたらあともう少しである。タオルには絞れる位の汗が付いていたが、案外快調である。地図で位置を再確認し、宮之浦を目指す。
民宿晴耕雨読に到着したのは、まだ昼前であった。
本人が一番驚いたことは、ほとんど疲れていないという事実であった。なーんや私も案外やるときにはやるやん〜と自分を褒めてあげた。有森裕子じゃないがたまにはそーいうこともやっておくもんである。
宿は、予約も何もしていなかったが、ひと部屋確保できた。まだ1泊しかしていないのに、もう「帰ってきた」感覚になっているのがおもしろい。海外の安宿でも、そういう常宿感覚というのはあるようで、絶対そういうところには、k大のにーちゃんのような主のような人がいて、いろいろあれこれ教えてくれたりするようだ。
昼からは白谷雲水峡に行こうかと思っている、という話をしていると、宿の人が、今から雲水峡に行く人がタクシーを呼んでいるから同乗させてもらってはどうか?と言うではないか。なるほどそれはよい考えだ。渡りに船というやつである。
すぐさま雲水峡に向けて出発することにした。 |