父島1周の旅
スーパー小祝
ジョンビーチ
シュノーケリング
浸水事件
ものすごい星空
ケータ島探検
イルカ三昧
さよならパーティ再び
エピローグ
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翌朝、なんとか二日酔いにもならずさわやかに目覚める。
今日の予定はまだ未定、だけど昨日最後のほうまでパーティにキチンと参加していた友人の話によると、宿のメンバーほとんど全員、今日から1泊2日で行われる母島ツアーというのに参加するらしい。
しかも、今までも参加したことがある人に「母ツアーに参加しないやつはバカだ」くらいのことを言われたらしい。
当初はどうしようかぁ?せっかくだから母島には1日じゃなくて数日いたいね〜なんて話をしていたのだが、このまま宿にぽつんと二人きりになるのも寂しすぎると思い、急遽参加することにした。
このツアーはミスPAPAYA号に乗っておがさわら丸の見送りをした後、そのまま母島に向けて走り、イルカを見つけたらその都度泳ぎ、夕刻母島に到着、母島の民宿ママヤに泊まり、翌朝また父島に向けてドルフィンスイム、マッコウウォッチをしながら戻ってくるというものであった。
おが丸の見送り、それは2航海以上する人だけが出来る特権である。
事前に仕入れた情報によると大変感動的であり、これを体験するとほとんどの人がまた絶対小笠原に「帰って」くるぞ!と固く決意するらしい。
午前中はゆっくりと宿の周りを散策などして過ごす。帰島前の午前ツアーというのもあったのだけれど、やっぱりどうせなら長いツアーのほうが楽しい。
それに、船に乗ると楽しいけどお金がかかる・・・。ちなみにここの宿では宿代もツアー代も全部最終日に一括精算となっている。なので、ずーっとツケで遊ぶみたいなもんで、最後にびっくりするような金額になっていそうで怖い。クレジットカードは使えないし!(郵貯や農協のATMはある)
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大村地区と前浜 |
午後、今回の船で帰る人たちが港に集まり始めた。
いや、帰る人たちだけじゃなく、父島にいる人の半数以上がここにいるんじゃないだろうか?というような賑わいよう。
今回は9月の終わりということで、今日で夏のアルバイトが終わる人というような感じの人もいて普段よりも「お別れシーン」が多いようにも思えた。
おが丸の出航前、地元の有志による小笠原太鼓の演奏があった。
ドンドンドンと力強い響きなのに何故か悲しい別れの挨拶のようにも聞こえる。演奏が終わると出航の最終案内の声がスピーカーから流れ、急かされるように残っていた人たちも船の入口に吸い込まれるように入っていった。
乗り込んだ人たちが、出航前に渡されたハイビスカスの花を手に次々と甲板に出てきた。各宿やツアーののぼりのまわりに集まった小笠原で出会った人たちを見つけては手を振る。
最後の最後まで別れを惜しんでいた人がようやくタラップを上がると、おがさわら丸は汽笛を鳴らし、静かに岸壁を離れはじめた。
「さよーーーならーーー」
「いってらっしゃーい」
船の上からハイビスカスがひとつ、ふたつと投げられ、海へと消えていく。おが丸は岸壁を離れ、沖へと航行を始めた。
普通は見送りというとここまでのことを言うのであるが、実は小笠原におけるおが丸の見送りはこれだけではないのだった。船が岸壁から離れるやいなや、港にいた人々は急に慌ただしく動き始める。猛ダッシュで走り出す人もいる。
これは、おが丸を追走する船に乗り込むためであった。
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おが丸と見送る人たち |
もちろん私たちも船に乗り込む。というよりも、今回の母島ツアーはおが丸を見送ったあとそのまま母島に向けて走り出すのだ。
いつもはこの見送り船に乗り込むのは無料で誰でも乗れたりするらしい。ミスPAPAYA号はかなり大きくスピードも出るのであまり急がなくても余裕でおが丸に追いつくのだが、小さい船だと見送り後すぐに猛ダッシュしないと追いつかないようである。
とはいえ、急ぎ足で船に乗り込み、出航したおがさわら丸を追いかける。20隻近くはいるだろうか?大きなおが丸のまわりにコバンザメみたいにちょこまかと付き添う見送りの船たち。
そして船の上から次々とみんな海に向かって飛び込みダイブをしていくのだ。
他の船の追走もほぼ終わり、もうそろそろ二見湾内を出ようかという頃、船長の田中さんの「そろそろさよならを言いましょうか」の一声で、みんなで一斉に「さよーーならーーー」と叫び手を振る。さっきまで一緒にいた同じ宿の人たちの姿も見える。みんな手を振っている。
そして最後のさよならの挨拶、海へと飛び込むのだ。ちなみにこのダイブ、デッキから飛び込む人と、2階というか上のデッキから飛び込む人で分かれる。普通はみんな下から飛び込むのだけど、私はアタマから飛び込むのはちょっと怖いけど、足から飛び降りるのなら全く問題ないので進んで上のデッキから飛び降りることにした。念のためライフジャケットはつけておいたけれど。次々と海へとジャンピングダイブする。
海の上でぷかぷかと浮きながら大きく手を振る。
次第に遠ざかるおが丸の姿・・・・。
そして思った。これは間違いなく感動すると。
見送りをされるほうもだろうけれど、見送る方も、なんかぐっとくるものがあった。 それはおがさわら丸という船が、小笠原に来る唯一の手段であり、ここにいる人たちはみんなこの船に乗ってきているという一体感のようなものから来るのかもしれないし、週に1度しかないという限られた行事だからなのかもしれない。
だけど理由なんてどうでもいい。とにかくこれがないと小笠原じゃないんだ、と思えるほどステキで重要な小笠原での行事なのだと強く思ったのだった。
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9/24
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