タイ北部 ’97春
出発
プロローグ
ソウル経由バンコクへ

ひとりの食事
夜行列車で南へ
クラビ
クラビ行きのバス
宿を求めて船は行く
野性味あふれる
バンガロー

プラナンビーチ
ピピ島へ行くか行かざるべきか
ランタ島
未知の島ランタ島
何もしない幸せ
シュノーケリングツアー
非常事態
長い一日
帰路
トランヘ
二等列車の旅>
近づく都会
バンコク危機一髪
エピローグ
夜行列車で南へ

気がつくと夜明け近くになっていた。少しずつ窓から見える景色が、黒いシルエットから形あるものに変化し始めていた。
夜明けの車窓は見ていて飽きない。空が刻一刻と色を変え、明るくなっていく。ガタゴトと揺れる列車の音と、鳥や風の揺れる音。ミックスされた音が、まだ眠っている脳細胞を少しずつ起こしてくれる気がする。

小一時間ほどして、列車は目的地、スラーターニー駅に静かに止まった。ここからは3時間くらいバスに乗ってクラビーまで行くのだ。同じようにサムイ島に行く人などもここで降りて、バスで移動するようだ。たくさんの外国人旅行客がこの駅に降り立った。

駅前にそれらしきバスがたくさん並んでいる。チケットを手にバスを確認すると、ちょうどその前に朝着いた旅行者を相手にしたカフェがあったので、暖かい紅茶をいただくことにした。
カフェと言っても軒先にテーブルとイスを出しただけのものなのだが、それでも、自販機も少なく、冷たい飲み物がほとんどのタイでは、紅茶を飲めるというのは結構それだけでうれしい。それがたとえリプトンのティーバッグでインスタントのパウダーで30バーツ(破格に高い)もしても、ありがたく頂かなければいけないのだ。

それにしても、外国人が多い。それもほとんど欧米人旅行者なのだ。
日本人はさっきから一人も見かけない。日本人バックパッカーはあまり海が好きではないのだろうか、よくわからないがとにかく周りには英語が氾濫していた。

時間が来たので、バスに乗り込む。後ろのほうの窓側に陣取り、出発を待つ。 「そこあいてますか?」と声をかけられる。2人席を独占できると思ったがバスは結構な混雑具合になってきていた。見あげると坊主頭の白人のにーちゃんであった。 うわっ悪いヤツやったらどうしよう・・・・と一瞬思ったが、笑顔がなかなかさわやか風で、結構いい人そうにも見えたので、もちろんよと言って荷物をおいていた席を空けた。
そのシチュエーションがちょっと「旅慣れたワタシ」ぽくて、心の中でガッツポーズをするばななんであった。

バスはそうしているうちにほぼ満員となり静かにクラビに向けて発車した。

スラーターニー駅の朝
スラーターニー駅の朝

バスの中でゆっくりするはずが、隣に座った坊主頭の彼となぜか思わず会話が弾んでしまった。 彼は、オーストラリア人のデービッドといった。3ヶ月くらい旅をしているようで、双子の兄がいて、その人がなんとタイの修行僧になっただとか、タイの北部のラオス国境近くでロッククライミングした話だとかで盛り上がる。

オーストラリア人というのは、基本的に気さくで友好的な気がする。
アメリカ人とかヨーロッパ人よりも、日本が近いだけあっていろいろ知っているし、親日的なような気がする。あくまで主観だが。

バスはときおり休憩時間をはさむ。
小さな食堂とトイレを兼ねた施設に停車するのは、日本のスキーバスツアー慣れしているばななんには馴染みのスタイルである。
そこで、デービッドと話をしていたフィンランド人とも親しくなる。彼の名前は
最後までなかなか覚えられなかった。そして今や記憶のかけらも残っていないのでフィンランド人のおにーちゃんとだけ書いておこう。

ばななんの一人旅はここで一気に国際色豊かなものになってきたのであった。

 

次のページへGo!
5/19
ホーム 旅行記目次へ 旅行写真集 カブ旅行記 掲示板