ヤラー行きの列車は、寝台車両のない列車であった。 指定された席へ着くと、地元へ帰るのだろうか、高校生くらいの女の子達がたくさん乗っている席の中に、ぽつりと押し込まれたような形で私の席が指定されていた。
列車はかなり混んでおり、空いていたら別の席に移ろうと思っていた私のもくろみはもろく崩れ去った。 一人旅初日の緊張は、自分が思っていたよりも大きかったのか、座席に着いて落ち着くと、いつの間にか眠ってしまっていた。
気づいた時には列車は既に走り始めており、隣の女の子たちが何か私に向かって話しかけてきた。傍らに車掌と思われる人も立っている。
??? 何か悪いことしたか?と考えていると、隣の子が、私のことを説明してくれているようだ。どうやら私の席は窓側ではなかったらしい。代わってあげたのよといったこと言っているような気がした。
寝ぼけているので一瞬事態がわからなかったのだが、事なきを得たようであった。車内は暗くしており、隣の子の顔もよく見えない。 お礼を言うと、その子ははにかんだように少しだけ笑って、回ってきていたお菓子を私にもくれた。それは、くれたものなのか、この列車の人に配られるものなのかはよくわからなかったが、ありがたく頂戴しておいた。
そしてまた、速攻で眠りについてしまったのであった。
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